木村尚仁研究室のブログ

木村尚仁研究室(物理的デジタル情報研究室)[北海道科学大学の工学部・電気電子工学科および北方地域社会研究所(RINC)]のブログです。

2024/01/30 北海道科学大学高校の「総合的な探究の時間」の最終ポスター発表会が開催されました

2024/01/30(火),系列校である北海道科学大学高校の「総合的な探究の時間」について,最終のポスター発表が行われました。

私は2021年度の「総合的な学習の時間」,2022年度の「総合的な探究の時間」を担当。年間,高校の学期中はほぼ毎週,高校で授業を担当。

2021年度

kimuran.hatenablog.com


2022年度

kimuran.hatenablog.com

 

この2年間私の担当クラスでは,「《人を楽しませる》とはどういうことか」をテーマとして,またMITメディアラボのLifelong Kindergartenを主宰するレズニック教授が提唱するクリエイティブ ラーニング スパイラルを意識し,Scratchとmicro:bitを用いてセンサを利用したフィジカルコンピューティングによるオリジナルゲーム作りを行ってきました。

 

これまで2年間ほぼ同じ内容で実施して,大きな手応えを得ることができました。ただし今年度はそろそろ新しい進展,深化を進めたいと考えるようにも。そこでこの授業が「探究」であることを改めて意識し直し,受講する生徒たち自身が関心を持つ社会課題に取り組んでもらうことをめざしました。

すなわち,
「学生たち自身が選択した社会課題について,
 それに対する興味・関心を広げる,理解を深めるための
 ゲームプログラム作品を制作する」
これを今年度の私達のクラスのテーマにしました。

今年度,4月中に生徒たちがテーマを選択,クラス分けが行われ,私は2023/5/2の第3回から担当を開始しました。当クラスには28名の生徒さんが参加してくれることになりました。
なお,科学大高校は今年度から手稲キャンパスに移転したため,昨年度までのように毎回中の島まで通わなくて済むようになりました。またそのため,学生を連れて行きやすくなったので,ティーチング・アシスタントを同行することに。ほぼ毎回,1年から大学院生までの3〜5名程度に一緒に参加してもらいました。

全28回の授業中,初回の授業ではこのクラスの全体のねらいや進行スケジュールを説明,また「シリアスゲーム」や「ゲーミフィケーション」,「eスポーツ」などのキーワードに触れながら,単なる娯楽ではないゲームとしてのアプローチの重要さについても解説を行いました。

それから第7回までまずは個人ワーク。プログラミング環境であるScratchの使い方をレクチャーし,自分のiPadを用いてゲーム作りを行いました。完成後にお互いの作品を体験し,お互いにコメントする機会も設けました。

6月中旬の第8回からはいよいよ本格的な活動に入ります。まずはMicrobit Moreのサイトを用いて,Scratchとマイコンであるmicro:bitを連携したプログラム作成方法をレクチャーします。その後,4人ずつ7班にチーム分け,どのような社会課題をテーマとするか話し合いを開始,またそのテーマについての調査を行い,ディスカッションを進めてもらいます。

 

夏休みが明けて9月に入った第12回から,そのテーマについて興味・関心を広げ,また理解を深めるためにはどのようなゲームを作れば良いのか,チームで協議・検討を進めます。
9/26の第15,16回は2時間続きで中間発表を実施。
10/3の第16回からは,いよいよゲームプログラム作り開始。各チームの個性で,順調に制作が進む班もいれば,なかなか思い悩んで進みが遅いという班もいましたが全チームが11月には作品を仮完成。
11/21の第20回ではゲーム作品を発表,他チームの生徒に体験して貰いました。そのときに

  1. プレイしてみて楽しかった(楽しそう)ですか?
  2. プレイしてみて,テーマについての理解は進みましたか?

についてアンケート回答をして貰い,各チームは翌回からそれを基に,自分たちのゲーム作品のブラッシュアップを行いました。全チーム,工夫を凝らして大変面白く,かつ興味深い内容のゲーム作品を作ってくれました。各チームのテーマは次の通りです。

  • 第1班 地球温暖化が進むとどうなるか
  • 第2班 シロクマを救え!
  • 第3班 地震が起きた時の対処法
  • 第4班 感染症から身を守る
  • 第5班 綺麗な海を守れ! 〜ごみキャッチシューティング~
  • 第6班 クマ撃退クイズゲーム
  • 第7班 海洋プラスチック

特に第4班はティーチング・アシスタントの学生に依頼して,3Dプリンタで石鹸の形のケースを作製。その中にmicro:bitを入れて,手を洗う動作で動く独自のデバイスを作ってくれました。

 

 

12/12の第22回からは,一部の班ではゲームプログラムの修正を行いつつ,発表ポスター作り開始。
12/19の第23回ではポスター作成,発表準備も兼ねて再度各チームからゲーム作品の紹介を行ってもらいました。
年明け1/29の第25回にはポスター完成。


   

 

そしていよいよ2024/1/30,3コマを使ってポスターの張り出しとゲーム体験の準備を行い,発表を実施。全チームが実に見事に発表を行いました。
ちなみにその場になってうまく動作しない班があったのですが,急遽デバッグに取り掛かり,TAのアシストを受けながらもしっかり自分たちの発想と実力でプログラムを修正し,見事正常に動くようになりました。素晴らしい対応力でした!

 

発表会には生徒や北科大高校や大学の先生たちが見に来てくれていました。また今回は,北科大高校でのiPadを扱って頂いているNTTドコモの方々が見学に来てくださいました。当クラスのテーマに関心を持って頂き,全チームの発表を,時間いっぱいじっくり見て,話を聞いて頂いておりました。

 

このクラスに参加してくれた生徒の皆さん,それぞれに素晴らしいゲームプログラム作品でした。またポスター発表も見事でした。
私と一緒に指導に当たって頂いた高校の矢吹先生,またご協力を頂いた先生方,そしてティーチング・アシスタントとして親身になってきめ細かく生徒さんたちに寄り添ってサポートしてくれた電気電子工学科の学生,院生の皆さん,心より感謝致します。

 

最後に各チームの作品の紹介動画をご案内致します。

  • 第1班 地球温暖化が進むとどうなるか

    youtu.be

  • 第2班 シロクマを救え!

    youtu.be

  • 第3班 地震が起きた時の対処法

    youtu.be

  • 第4班 感染症から身を守る

    youtu.be

  • 第5班 綺麗な海を守れ! 〜ごみキャッチシューティング~

    youtu.be

  • 第6班 クマ撃退クイズゲーム

    youtu.be

  • 第7班 海洋プラスチック

    youtu.be