木村尚仁研究室のブログ

木村尚仁研究室(物理的デジタル情報研究室)[北海道科学大学の工学部・電気電子工学科および北方地域社会研究所(RINC)]のブログです。

2022/10/22 ひらめき☆ときめき サイエンス 『触覚をプログラムする 〜ハプティクス技術を使ってゲームを作ろう〜』を開催しました

当研究室としては4回⽬,2年連続で科学研究費による研究成果の若者への社会還元・普及のため,⽇本学術振興会が⾏っている事業「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ⼤学の研究室へ〜KAKENHI」に今年度も採択されました。

今回のテーマは,
『触覚をプログラムする 
  〜 ハプティクス技術を使ってゲームを作ろう 〜』

これを2022年10⽉22⽇(⼟),北海道科学⼤学にて実施しました。 
現在,ゲームやスマホを始めとして様々なところで⾝近になっている触覚(ハプティクス)技術を題材に,⾃分で作って理解して⾏こうという趣旨です。ハプティクス技術とは,例えば携帯電話に着信したときにプルプル震えたりするあれです。
今回も私達はこの講座で,純粋な好奇⼼で楽しむ段階を経てその先の進んだ理解と体験を欲するようになる中学⽣の⼦供たちに対して,科学技術やモノづくり のより深い理解へと進む橋渡しを⾏うことをめざしました。
「STEAM教育」(Science 科学,Technology 技術,Engineering ⼯学,Art アート,
Mathematics 数学)を念頭に置き,フィジカルプログラミングを通して,特に物理世界とデジタル世界を結ぶことの楽しさと科学的意義を体感,理解してもらうこともめざしました。
今回の受講参加者は中学⽣17名(3名が当⽇⽋席)。企画・運営スタッフは私を含め,事務職員は地域連携・広報課から3名(当⽇参加は1名),学⽣は電気電⼦⼯学科の1年⽣2名(⼤窪さん,橋本さん),3年⽣5名(池内さん,武⽥さん,船⽥さん,松井さん,吉⽥さん),4年⽣3 名(⼤髙さん,下⼭さん,真野さん),⼤学院電気電⼦⼯学専攻のM1(三船さん)で担当しました。

当⽇スタッフは9:00頃に集合。全員で会場設営,準備作業,参加者の誘導を⾏って受付開始。 10:00,会場である本学F棟の電気電⼦⼯学科のデジタル第2実験室(F314実験室)に参加者の 皆さんが揃ったところで,まずは今⽇作っていく相⼿探しのデバイスの完成⾒本と動作例を皆 さんに⾒て体験して貰いました。また参加者4⼈程度と学⽣スタッフ1〜2名でグループを作り, アイスブレイクを兼ねて「好きなゲームは?」のお題の縛りで⾃⼰紹介をしてもらいました。 続いて開講式として私から挨拶と講座の概要説明,また科研費制度についての解説を⾏いました。

作るのはこんなのです。

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そしていよいよ本格的な内容に⼊っていきます。まずはmicro:bitの基本について説明し,また MakeCodeのサイトに⼊って実際に⾃分で操作をしながら使い⽅を学びます。 しかし何とここで私のミスで⼀部の部品が⾜りないことが判明! 回り回って半導体不⾜の影響がこんなところに……。しかし万が⼀「こんなこともあろうかと」とストックしたあった物品で急遽対応できました。またそれに関連して電池も不⾜していることが分かったので,直ぐに買いに⾏ってもらい,全体としては無事に進⾏することができました。スタッフ学⽣たちの機転と⾏動⼒に感謝です。また「もしも……」の事態への準備を想定していた⾃分も褒めてあげたい。

 

休憩をはさんで触覚(ハプティクス)技術をはじめとし,今回の講座で関連する種々のセンサーやインターフェースの科学と技術について解説の講義を⾏いました。 
ついで,今回のゲームデバイスの基本となるミニLEDランプを作製します。これ⾃体は当研究室 のモノづくり講座の定番テーマで,RGB三⾊で光るLEDを⽤いてミニブレッドボード上に電気 回路を作り各⾊で,あるいは⾊を混ぜて光らせることができます。ミニブレッドボードの⽳にマジックで⾊をつけて差し込み位置をマーキングしながら,LED,抵抗,タクトスイッチ,ジャンパ線を繋いで回路を作ります。最後にお湯で柔らかくなるプラスチック粘⼟を使って⾃分の好きな形を作り,LEDにかぶせて完成です。当初上⼿く光らない⼈が何⼈かいましたが,いずれもちょっとした配線ミスなどだったので,すぐに修正して生徒さんたち全員がスムーズに完成できました。

  

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ここで昼⾷休憩。既に時間が押している状態なので,ここから先は若⼲時間調整しなが らの進行となります。 
隣のE棟1階のホールで参加者,スタッフ⼀緒に弁当を頂きました。ただし感染防⽌のために座席の間隔に気をつけてですが。昨年度は皆で⼀⽅向を向いて完全黙⾷での昼⾷だったので,それに⽐べれば⼀歩前進です。 
昼⾷は学科研究室ツアーを実施。⼈数が多いので2グループに分け,学⽣スタッフに引率してもらいました。当学科ではちょうど修⼠研究,卒業研究の中間発表のポスターを学科研究室前に展⽰しているところでしたので,これらを使いながらの研究紹介,活動紹介や施設⾒学を⾏いました。

 


実験室に戻って,次はデバイス作製のためのプログラム作成に取り組みます。Microsoft提供の MakeCodeにより,micro:bitのプログラムを作っていきます。今回のプログラムは, 

  1. 初期設定 
  2. ボタンAを押すと⾃分のデバイスが⾃分の好きな⾊で光り,震える 
  3. ⾃分のデバイスを振ったときの送信設定
  4. ⾃分の相⼿がデバイスを振ったときにその通信を受信し,⾃分のデバイスが相⼿の⾊で光 って震えて知らせるという動作設定

の4つのモジュールで構成します。ちなみに今回は,約10⼈のグループの中に⼀⼈だけ⾃分の仲間がいる設定とし,その相⼿をデバイスの振動で探す……という⼀種のゲームデバイスを作ります。⾃分の相⼿が誰になるかについては,プログラミング前に番号を書いたカードを伏せて各⾃1枚引いてもらい,その番号を他の⼈には⾒せず相手が分からないままモジュール1の「初期設定」に書き込むことで設定します。 
これらのモジュールを順番に,各プログラムの趣旨やそこで使⽤する命令等の意味について解説しながら⼀緒に作っていきます。ただしあらかじめ資料は配付しているので,⼈によっては⾃分でどんどん進めて⾏く生徒たちも⾒られました。 
さてここで,私の資料に間違いがあることをスタッフ学⽣が発⾒。すぐに修正版を作って生徒たちに配ってくれました。さすがです,これは助かりました!
プログラムが完成したら,micro:bitにダウンロードしてプログラミングは終了。

ここでまた休憩をはさんで,いよいよデバイスの完成に向かいます。プログラムをダウンロードしたmicro:bitと,さきほど作ったミニLEDランプや電池,そして肝心の触感デバイスモジュール(フォスター電機製)を接続します。 
Aボタンを押して⾃分のデバイスが光って震えることでまずは基本動作確認。ここでも生徒さん達全員が実にスムーズに完成できました! 
そして集⼤成。実際に⾃分のデバイスを振って,光って震えている相⼿探しを実行。そして⾒事に全員が相⼿を⾒つけ,無事ミッション完了です。 

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最後の締めくくりとして修了式を開催。私から講評を述べさせてもらい,恒例の学⻑名による参加生徒さん全員への「未来博⼠号」の授与を⾏いました。 
熱⼼に楽しみながら,しかも⼿際よく取り組んでくれた中学⽣の皆さんのお陰で,今回の講座も無事終了することができました。また実施に協⼒してくれた教職員の皆さん,そして何より真摯に明るく的確な判断で,親身にサポートにあたってくれたウチの学⽣諸君に⼼より感謝致します。 

 

参加者の中学⽣の皆さんのアンケートを下記の通り紹介致します。