今年度,手稲中央小学校からご相談を頂き,この学校では初めてプログラミングの授業を行いました。
手稲中央小ではMESHを用いたプログラミング教育を行っており,今回もMESHを使った出前授業を行って欲しいとのリクエストを頂きました。MESHは種々のセンサやスイッチなどの物理的ブロックを,専用アプリ上で繋げてプログラムを作ることにできるツールです。
私自身MESHについては,以前にちょっと触ったことはあるのですが,その後はあまり使うことがないままになっていました。でも折角の機会ですので,私達としてもチャレンジで臨むことにしました。手稲中央小でプログラミング教育を担当している田中先生と打ち合わせを行い,授業準備を行いました。
今回は6年生について10/31(火)の午前に1組,午後に2組,11/2(木)の午前に3組の授業を実施。各クラスの児童は約30人。今回の学生アシスタントは,10/31(火)は4年生の米田さんと船田さん,11/2(水)は院生の下山さんと4年生の小向さんです。
各クラスとも進行はほぼ同じ。まず冒頭で当研究室において今では伝統のデバイスとなっているキッチンピアノを,これもプログラムで動いているものの例として,実際に触ってもらいました。これは,マイコンとしてMbedを使用,人体から発生するノイズを利用したオリジナルのタッチセンサを用い,お玉やフォーク,かにスプーンなどのさまざまな調理用品(実は金属であれば何でも可)を繋ぎ,これを触ると音を出すようにし,1オクターブの音階が鳴るデバイスです。
授業の最初,プログラムの役割や,どのようなところに使われているのかについて冒頭のキッチンピアノや,自動車,携帯電話システムなどを例にとってレクチャーを行いました。
次いで約4人でグループに分かれ各グループ1台,子供たち自身のChromebookを使用,,MESHの各ブロックを使って,子供たちにとっては一部復習も兼ねてプログラミングの体験を行います。
- ボタンとLED
押し方によって点灯を消灯を行う。 - 動き
LEDをボタン押しで点灯,振る動きで消灯させる。 - 人感
警報器を作る。人を感知したら警告としてLEDを点灯し,スピーカで音を鳴らす。 - 明るさ
Andのロジックについて説明して,明るさを使って暗いときだけボタンが押されたら明かりが付く夜間灯を作成。
ここで一旦休憩。
後半の最初,応用例としてボタン,動き,LEDのブロックとタイマー,And,スピーカーを使って,時間当てゲームを作りました。
そして最後にGPIOのブロックを使います。あらかじめ大学で用意してきたRGB三原色LEDを使ったミニランプをGPIOに接続。ボタンの押し方で赤,青,緑をそれぞれに,あるいはこれらの色を混ぜて点灯させ,振ると消灯するしくみを作ります。自分の手による操作できれいに光るランプを見て,歓声が上がります。
当初はここで終わる予定だったのですが,子供たちが結構MESHの扱いに慣れていたこと,手際の良さなどから,もうちょっと時間の余裕ができました。そこで急遽MESHのアプリに備わっているPWMの機能,すなわち本来デジタル(0か1か)出力しかできないはずの端子を使って,見かけ上中間の大きさの出力を行う「なんちゃってアナログ」について簡単に説明し,これを使ってLEDを薄く点灯させてみたところ,子どもたちはしっかり理解し,へ~と言いながら楽しんでくれました。
子供たちの反応が大変良かったので,2日目にはPWMの説明用資料も用意しました。事前にはまさか小学生を相手にデューティ比の説明をすることになるとは思わなかったのですが,意外とすんなりと説明を聞いてくれたように思います。凄いぞ小学生!
さて私達の授業はこれで終わったのですが,その後について担当の田中先生から連絡を頂きました。授業の内容を基に子供たち自身がアイディアを発展させ,様々ゲームや自動制御のしくみを作っているとのこと。例えば,
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数人のグループで輪になり、ボタンタグを一人3回まで好きな回数押せる。
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タイマーを使って、15回目にボタンを押した人が負けで、叫び声が流れるゲ
ーム。 -
GPIOと扇風機のついたモーターをメーター付きコンデンサーにつなぎ、ボタン・タグを1回押すと動き。長押しすると、扇風機が止まる扇風機のリモコンづく
り -
教室内にスタートラインとゴールラインを設定し、動きタグをもって揺らさず
にゴールまでもっていく。
もし、揺れを感知したら、叫び声がするゲーム。 -
温度タグとメーター付きコンデンサー、扇風機を使い、温度が高くなったと感
知したら自動的に扇風機が回り、2回ボタンを押すと扇風機が止まる。 -
人感センサーに見つからずにだるまさんがころんだをしてみよう
-
ハンドベルのように、タグを一人一人もってボタンを押したら「ド」、振った
ら「レ」と設定し音楽を演奏する。 -
モーターに矢印を付けてルーレットを作る。ボタンを押したら、スタートとス
トップ。 -
温度が上がったら、「熱中症に気を付けて」と放送が流れる。
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明るくなったら目覚ましのコール(子どもの声で)、暗くなったら子どもの声
でおやすみコール
私達の授業がきっかけになって,子供たちがどんどんアイディアを展開してくれるという,素晴らしい理想的な展開です。これは担当の先生の企画力と指導,また何より子供たち自身の力によるものでしょう。
子供たちの力を引き出すことに貢献できたようで,大変嬉しく思います。