今年度,本学のご近所の札幌市立前田小学校からご相談を頂き,6年生の理科の「電気の利用」について出前授業を行うことになりました。
まず事前に何度か小学校を訪れ,担当の北本先生にお話を伺って,打ち合わせを行いました。今回は,先生が行われた授業の中で,実は子供たちに疑問が残っているらしきことがあるし,また学んだ内容をさらに深掘りしたいことについて話をして欲しいとのリクエストでした。そこで相談の結果,今回は
(1)発電を行う様々な方法
(2)LEDはなぜ光る
(3)コンデンサーってどうなってる?
(4)電気で何ができるの?
について,デモ実験を混じえて授業を行うことにしました。
2018/02/26(月)当日の朝,3年の新ゼミ生の内から今回授業でアシスタントを務めてくれる,伊藤君,猩々君,西田君の3人と,直前の確認,打ち合わせを行い,機材と一緒に学校に向かいました。
学校到着後,会場である理科室に入り機材をセッティングし,子供たちの来室を待ちます。
10:45,授業開始。
まずは挨拶,自己紹介。その後,今回も授業内でクリッカーを使うので,アイスブレイク代わりの練習として,定番のジンギスカンの質問に答えてもらってから本格的に授業を開始します。
まず様々な発電方法について,主な科学的な仕組みの違いごとに代表例を上げて解説を行います。今回は,電磁誘導,乾電池,リチウム電池,水の電気分解とその逆反応の実験を見せて,子供たちに考えさせながら科学解説を進めます。デモ実験の実演は主にウチの学生たちが担当。初めてとは思えない手際の良さだぞ!
続いて1コマ目後半は,LEDについて。今,身の回りにもたくさんあるし,理科の授業の中でも良く使われるLEDですが,そもそもなぜ光るのかについて,豆電球との比較の実験を行いながらその科学的なしくみを学びます。
ここで一旦休憩をはさみ,2コマ目の前半は「コンデンサーってどうなってるの?」がテーマです。理科の授業,実験では結構コンデンサーを使っているそうなのですが,そもそもどうして電気を貯めることができるのか,中身はどうなっているのかを子供たちに伝えたいとのこと。まずは薄いプラスチックシート(要するにOHPフィルム)をアルミ板で挟んだ簡易コンデンサーでLEDを光らせます。一瞬だけど。
これについて科学的原理を解説し,実際に電解コンデンサーを分解した中身を皆さんに見てもらいました。また静電容量を応用しているスマホやタブレット端末のタッチパネルのしくみについても,ちょっとだけ紹介。
最後は電気の応用。そもそも光らせるとか動かすとはともかく,例えば「電気が音を鳴らす」とはどういうことなのか,子供たちの頭の中では結びつきづらいとのこと。そこで,実際に電気(電圧)の変化が圧電素子を振動させ音になる様子を,実験しながら学びます。また逆に,圧電素子を使って発電できることを,オシロスコープを使って観察し,そして持参した当研究室定番の「フリフリ発電器」の見本を皆で振って,LEDが光る様子を体験してもらいました。
さらにもう一つ,ペルチェ素子に電圧を掛けることで温・冷を作ることができることを見せ,逆に温度差で発電してプロペラが回ることを,子供たちに体験してもらいました。
若干,授業時間をオーバーして給食時間に食い込んでしまって申し訳なかったのですが (^_^;),児童の皆さんが授業を楽しみ満足してくれた様子で,12:30頃に無事終了。
再び学生らと撤収作業を行い,大学に戻りました。
その日の内に先生からメールを頂き,「科学に興味のある子が多いクラスですので、あの後、発電について意見を交わしていました。」とのこと。これは素晴らしい!
先生の普段からのご指導の賜物だと思いますが,そこにこのように寄与できたことは,私達としても大変嬉しいことです。
なお今回の授業の様子については,前田小学校のホームページでもご紹介頂きました。
札幌市立前田小学校-ニュース - 子どもたちの活動 -
ニュースに載せて頂きありがとうございました。
今後もお隣さんとして,前田小学校の教育のお手伝いをしていきたいと考えていますが,他の学校についても,リクエストを頂ければできる範囲でどんどんお手伝いさせて頂きたいと思っています。関心のある方はご遠慮なくご相談ください。