1年生前期の授業『電気電子工学概論』では最初に,電気の基礎として電気の通しやすさ,導電率は何で決まるかという話をしています。そこで電気伝導のメカニズムを自分自身がアクションを起こして体感的に理解してもらうことと,同級生間の繋がりを感じてもらうことをねらって,「なんちゃって電気伝達デモ実験」を行っています。要するに出席カードの回収を使ってのデモ実験です。今は殆どの授業でUNIPA(教育用ポータルサイトシステム)で出席を取りますが,一応紙の出席カードがあることも知っておいたほうが良いかなと思い,書く経験をしてもらうねらいもあります。
なお2020年度には,前期の授業は全面的にオンラインで実施されていたため,この年にはメールを使って実施しました。
2020/06/01 オンライン授業で「なんちゃって伝達デモ実験」を行ってみました。 - 木村尚仁研究室のブログ
今年度は全学的に基本的ほぼ対面での授業に戻っており,「電気電子工学概論」も対面授業。そこで2023/04/18(火),昨年度と同じく授業時間に実施しました。
実験方法は次の通り。
- 全体を4つのグループ,10のコースに分け,条件を変えて,皆が記入した出席カードの回収時間を測ります。
グループA : 伝達速度 ゆっくり/ 列数 少ない(2列)
グループB : 伝達速度 ゆっくり/ 列数 多い (3列)
グループC : 伝達速度 速い / 列数 少ない(2列)
グループD : 伝達速度 速い / 列数 多い (3列)
ここで「列数」は電気伝導を荷なう電気の量(電荷密度),「伝達速度」は電気の動きの速さ(電子移動度)の喩えを表しています。なお列ごとの若干の人数の違いは,補正によって同人数相当に換算します。 - 全員が下記のいずれかの役割を担当します。
(1)スターター = 各列の一番後の人
スタートの合図で前の人に出席カードを渡す
(2)中継者 = 各列の中継ぎの人
後の人からカードを受け取ったら,
ループAとB(コース1~5) の人
→ 3つ数えて(だいたいでOK)前の人にカードを渡す
グループCとD(コース6~10)の人
→ 1つ数えて(だいたいでOK)前の人にカードを渡す
(3)アンカー = 各列の最前列の人
スタートでストップウォッチをスタートさせ,
後の人からカードを受け取ったらストップする。
まずこの手順を念入りに説明。また出席票が全員に配られていて,記入してあることを確認します。
そして私がスタートの合図をして開始。アンカーはストップウォッチのスタートボタンを押し,スターターは前の座席の人に出席票を渡します。受け取った人は,各コースごとに指定された間を置いて,自分の前の席の人に渡す。これをどんどん順に送っていきます。各コース最後の学生(アンカー)は後ろから出席票を受け取ったら,ストップウォッチを止めます。
私はアンカーから各コースの伝達時間を聞き,出席情報の伝達の速度を計算し集計します。この伝達速度が電流(密度)値に対応しています。結果は下図の通り。予想通りA〜Dのグループ順に伝達速度が上がっています。
受講者アンケートを見ても,分かりやすかった,楽しかったとの感想が多く寄せられており,実施の効果が確かめられました。良かった!